はじめてのマイダーツの話
はじめてのマイダーツが壊れた、フライト ※1 がパックリ割れてしまった、10月30日の事である。
11月僕はスランプに陥った、ダーツが全然上達しなかった。
それまでダーツをしていて何か壁にぶつかったときに戻るべき原点、道標がそのダーツだった、しかしもう投げられないのである。 「壊れた部分を買い直せばいいじゃないか」そう思うだろう、僕もそうしたかった。だけれどもできなかったのだ。
そのダーツは限定品のセット商品でフライト単体で発売していない、セットごと買い直そうとしたが市場に在庫はもうなかった。
僕はヤフオクやメルカリに流れてくるのを待つことにした。
そんなこんなで2月になったようやく「同じもの」が手に入った。
しかし、久しぶりに投げたそのダーツは馴染まなかった、懐かしさはあったけれどしっくり来なかった、実家に帰る安心感は無かった。親戚の家で正月を過ごす感じの違和感である。
そう僕自身が変わってしまったのだ。フォームも、プレイスタイルも…合うわけがなかった。
かくして僕はさよならを告げた、はじめてのマイダーツに。
今までありがとう、安らかに眠れ。
帰るべき原点を無くした僕はダーツがわからなくなっている。
大切なモノを無くしてしまったような気分になっている。
ずっと想い続けていた幼馴染が大学でヤリチンウェイに処女ゴチでーすされた同人誌の男の子の気持ちが今ならわかる。
圧倒的な虚無感、これから僕はダーツとどう向き合うか、どう飛ばすのか。
今はわからない
※1 フライト…ダーツの後ろの羽根の事、ここの形とか重さで飛びが変わる